<記憶の断片> 散骨

 





散骨


月の夜

安曇野市

梓川の隣を流れる黒沢川

満開の桜が夜空に浮かび上がり吸い込まれる

人影は少ない


ここの桜を楽しむ人は地元の人

それも両岸をゆっくり往復して楽しむだけ

橋が渡っている場所では、橋の中央に立ち下流の行く末に目をやる


よる、桜の花びらを川にそっと落とす人がいる

桜の花びらの下に小さな骨

祈りと願いを込めて砕いた骨は小さな粒になっている


よく見ると

花びらを撒く人が他にもいくつか


犀川から信濃川

その向こうの日本海

桜の花びらと砂粒の骨が向かう先


昔、守ることが出来なかった子供を迎えに行く旅の始まり


小さな声が上がる


時が流れ始める


流転の再起動


しかし


本当に会いに行く相手は

過去に置いてきた自分自身

声を出せなかった子供の自分

その声を存分に聴いて

心いっぱいに受け止めて

一緒に涙を流すことが出来る


過ぎ去った時間を飛び越えて

いくつもいくつも飛び越えて







PV

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